AWSは2026年10月28日、Amazon Bedrock AgentCoreを通じて提供されるAWS Agent Registryの追加提供を発表しました。今回加わったのは、欧州のロンドン(eu-west-2)とフランクフルト(eu-central-1)、米国のオハイオ(us-east-2)、カナダ中部(ca-central-1)の4リージョンで、発表時点での提供地域は合計9リージョンとなっています。

これまで限られた地域でしか利用できなかったカタログ機能が主要な海外拠点の近隣リージョンで扱えるようになったことで、現地で稼働する業務システムと社内AIエージェントの接続を検討しやすくなりました。ただし、提供地域が広がったからといって、既存ツールの配置変更や地域間連携が自動的に完了するわけではありません。検討を進める上では、カタログが担う役割とツールの実行環境を明確に切り分ける必要があります。

カタログを置く場所とツールを動かす場所を分ける

AIクライアントによるRegistry検索経路と登録先ツールを介した既存業務API実行経路を示す仮定構成の概念図

AWSの公式ドキュメントであるAWS Agent Registryの開発者ガイドによると、RegistryはAWSアカウント内に作成する集中カタログという位置づけです。カタログ内には個々のリソースを説明するレコードが登録され、そのリソースが何であり、何を行い、どのように見つけられるかというメタデータが保持されます。

Registry自体はツールを発見するための名簿であり、ツールそのものを動かす実行基盤ではないという点が重要です。公式資料では、登録したエージェントやMCP(Model Context Protocol)サーバーをデプロイして動かす実行先として「Amazon Bedrock AgentCore Runtime」が、既存の業務APIやAWS Lambda関数をMCP互換ツールへと安全に変換して接続する役割として「Amazon Bedrock AgentCore Gateway」がそれぞれ案内されています。また、Registryへの検索や一覧取得はAWS CLIやSDKのほか、MCP互換クライアントから直接呼び出せますが、認可設定はIAMまたはJWTによってカタログ単位で管理されます。

つまり、追加されたリージョンにRegistryを設置した場合でも、呼び出し対象となる業務APIやツール実行基盤がどの地域で稼働し、どのような認証を求めているかは個別に把握しなければなりません。カタログの配置先とツールの実行基盤を混同せずに切り分けることが、構成を整理する第一歩となります。

海外拠点の受注照会を想定した検証手順

日本の企業が海外拠点の業務に向けてAIツールを導入する場合、どのような手順で確認を進めるべきでしょうか。例えば、ドイツのフランクフルトリージョンにあるAWS環境で、現地の受注管理システムと連動する受注照会APIを運用している場面を仮定してみます。

この構成では、まず既存の照会APIの仕様、稼働しているリージョン、利用者の範囲を洗い出します。次に、AIエージェントが「どのツールを使うべきか」を検索する経路と、選んだツールを使って「実際の受注データを取得する」実行経路は別々の設計です。Registryにツールのメタデータを登録し、認可設定を整えた上で、まずはテスト用のダミーデータを用いて段階的な確認を行います。

最初の試行は、AIクライアントがRegistryから目的の受注照会ツールのレコードを正しく検索できるかの確認です。続いて実行の検証として、今回の仮定例ではGatewayなどを介してMCP互換ツールから既存の受注APIへ安全に接続する構成を想定し、必要な認証情報を設定してリクエストを送り、期待通りのデータが返ってくるかを個別に確かめます。カタログの検索と登録先ツールを通じた既存API実行の成否を切り離して確かめることで、カタログ側の認可不足なのか、それとも登録先ツールや業務API側の認証・通信経路の不備なのかを素早く特定できます。

業務整理から接続構成の具体化へ

海外拠点のシステムが関わるAI連携では、対象とする業務の範囲、既存APIの接続方式、利用者のアクセス権限など、事前にすり合わせるべき論点が多く存在します。ツールカタログの選択肢が増えた今だからこそ、自社の既存インフラに合わせた無理のない設計が欠かせません。

株式会社デノフでは、Webサイト・業務システムの設計・開発・運用保守やAI活用支援を通じて、業務の棚卸しからAIを適用する領域の選定、既存システムと連携する仕組みの構築まで一貫して支援しています。海外拠点向けの既存照会ツールをAIから見つけて活用したいものの、どこまでを標準機能で整理し、どこから個別のAPI接続や権限設計が必要になるか判断に迷う場合は、デノフへの相談窓口よりご相談ください。対象業務の整理と検証可能な最小構成の設計からお手伝いします。