メール対応の一時停止と作業時間の分離

Agent workspaceでメールコンタクトの上部にPauseボタンが強調表示された接続メール
引用元:AWS What's New RSS — official documentation

2026年11月3日、AWSはコンタクトセンターサービスであるAmazon Connect Customerにおいて、問い合わせメールの一時停止と再開に対応したことを発表しました(AWS What's Newの発表)。情報や承認を待つ間にメールを一時停止し、優先度の高い連絡に対応したうえで後から作業を再開できるようにする機能です。上司の承認や他部門からの回答待ちにおいて、実作業時間の正確な把握や他案件への切り替えに課題を抱える業務での活用が想定されます。

この機能により、担当者はAgent workspaceやContact Control Panel(CCP)からボタン一つでメールを一時停止できます。一時停止中は対応タイマーが停止し、実際の作業時間と待機時間が分けて記録される仕組みです。本文や返信作成欄は一時的に非表示になり誤送信が防がれますが、作成途中の返信下書きはそのまま保持されます。管理者は停止中のメール件数や経過時間をリアルタイムで監視でき、設定したしきい値を超えた場合に自動で再開や転送を行うフローも組めるようになっています。

知っておくべき回数制限・件数上限とAPIの仕様

イベントフックにFlow at contact pauseが設定され、メールコンタクト一時停止時に実行するフローが選択されたSet event flowブロックの設定
引用元:AWS What's New RSS — official documentation

一時停止の活用にあたっては、公式ドキュメントで示されている制約や仕様を正しく把握しておく必要があります(Amazon Connect Customer管理者ガイドの仕様解説)。

まず、同一のメールを一時停止できる回数は最大10回までです。上限に達したメールに対する追加の停止要求は拒否されます。また、メールが停止状態にある期間自体には時間制限が設けられていません。ただし、一時停止中のメールであっても、対応中のメールと同様にインスタンスのアクティブメール件数上限へ算入され続ける点には注意が必要です。無制限に放置すれば新規メールの受付枠を圧迫するリスクがあります。

システム的な制御として、PauseContactおよびResumeContact APIが用意されており、担当者の手動操作を介さずに停止・再開が可能です。このAPIで指定する対象は、受信メールのcontact ID(inbound email contact)です。受信メールを一時停止すると、紐づく作成途中の返信も自動的に停止され、返信側のコンタクト単体を直接APIで操作することはできません。また、Set event flowブロックのFlow at contact pauseフックを使うことで、停止イベントを起点としたフローの自動実行も設定できます。

国内ECの返金対応を想定した業務設計と接続手順

この仕組みを国内の業務でどう生かせるか、EC事業者が顧客からの返金問い合わせを受ける場面を仮定例として考えてみます。

担当者が顧客からの返金依頼メールを受け取り、返信文の下書きを作成した段階で、社内の返金承認を待つためにメールを一時停止します。承認が下りるまでは手動で別業務を進め、上司から承認連絡を受け取った担当者がメールを再開して送信を完了させる手動運用から始めるのが現実的です。まずは少人数の体制で、下書きの保持や停止中の送信制限、再開後の挙動に現場が慣れる状況を確かめます。

次の段階として既存の受注管理やワークフローシステムとの連携を検討する場合、社内承認システム側の案件IDと、Amazon Connect Customerの受信メールのcontact IDをどのように対応付けるかが設計の起点です。承認完了のイベントを契機にResumeContact APIを呼び出してメールを再開させ、承認結果の通知や担当者への画面誘導とあわせて設計することで、確認や画面操作の手間を減らす効果が期待できます。その際には、API実行の認証権限、重複通知や連携失敗時のリトライ処理、しきい値を超えて滞留した案件を誰が引き継ぐかといった例外運用の定義が重要です。

問い合わせ対応と業務システム連携のご相談

Amazon Connect Customerの一時停止機能を活用するには、まず手動運用も含めて待機が発生する理由や再開担当者を整理することが重要です。さらに外部の承認システムと自動連携させる場合には、案件と受信メールの識別子の対応付けなど、業務手順とシステム側の両面から要件を詰める必要があります。

デノフでは、Webサイトや社内ツールの開発からAI活用までを一貫して支援しています(デノフのサービス案内)。問い合わせ対応の業務フロー整理から、既存の受注・承認システムとのAPI連携範囲の検討、小さく試す検証環境の整備まで対応可能です。承認待ちによる案件の滞留や担当者の作業時間管理にお困りの際は、デノフへの相談窓口よりお気軽にお問い合わせください。