製造現場の省力化や歩留まり改善に向けて、新しい工作機械や検査設備の導入を計画する際、機器単体だけでなく稼働データの一元管理まであわせて検討する場面が考えられます。そうした設備投資を後押しする公募として、広島県は2026年10月6日、「企業立地促進対策事業<物価高対策>」の案内を開始しました。受付期間は2026年10月6日から10月16日17時15分必着です。

本制度の助成対象経費には、AIやIoT、ロボット化等により単位時間当たり生産量や歩留まり率などの生産性向上が見込める建物・設備・ソフトウェアが明記されています。助成対象となる投資額の下限は税抜1,000万円以上で、事業期間は交付決定日から2027年12月31日までです。契約や発注などの事業着手から設備導入、支払いまでをこの期間内に完了させる必要があります。県の公式資料では、交付決定前に契約・発注を行ったものは助成対象外と明記されているため、事前の見積もりや検討の段階と、実際の契約時期を混同しない管理が求められます。

設備連携システムの構築費と、対象外となる運用費の境界

設備投資に合わせてソフトウェアを導入する場合、どのような費目が対象になるのかは大きな検討項目です。広島県が公開している「企業立地促進対策事業<物価高対策> Q&A」のQ9では、専ら本事業のために使用される専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築に要する経費は、固定資産台帳に登録するものに限って対象になると示されています。具体例として、生産設備の稼働に供する専用ソフトウェアや、各生産設備を連携して一元的に管理するための情報システムが挙げられています。

一方で、システムの利用形態や契約内容には明確な線引きが存在します。同Q&AのQ8では、従量課金制や定量課金制の使用料、月額利用料や保守サービス料といった継続的な運用費は助成対象外として列挙されています。クラウドサービスの月額利用や保守契約に依存した構成を組む場合、初期の構築・購入費用と日々の運用費用をあらかじめ区分し、どの部分を資産計上して助成の対象に含めるかを整理しておく必要があります。

現場データと日報を突き合わせる設計アプローチ

生産設備の一元管理やAI活用を構想する場合、デノフではまず、新規・既存の設備から取得可能な出力項目と、現場担当者が記録している作業日報をどのように突き合わせるかという業務整理から設計を始めます。

たとえば、県内工場において新規設備と既存設備の稼働状況を一元把握する場面を仮定してみます。設備から取り出せるデータ形式(CSV出力や通信インターフェース)を確認し、設備ごとの識別子やタイムスタンプと、日報に記録される作業内容やチョコ停(一時的な停止)の時間を照合する構成が考えられます。集約画面には設備の生ログと作業記録をそのまま保持した上で、停止理由の分類案をAIが提示し、最終的には現場担当者が目視で確認・確定する運用フローにすることで、判定の正確性を担保しやすくなります。

このような仕組みを検討する際は、特定ツールの機能に頼り切る前に、まずは手元の数日分の実績データを使って、日報の記述と設備の停止時刻が正しく対応付けられるかを小さく確かめることが有効です。設備メーカーごとのデータ取り出し条件や、既存の社内システムへの接続範囲を事前に洗い出しておくことで、無駄な追加改修や想定外の運用コストの発生を防ぎやすくなります。

業務整理からシステム接続の具体化まで

工場のデータ集約やシステム化では、どの機器から何の項目を取得できるのか、現場の確認作業をどこに残すのかによって、必要となる開発の規模や運用の手間が大きく変わります。また、専用システムとして構築する範囲と、月額で発生する保守・運用コストを適切に見極めることも欠かせません。

デノフのサービス案内でもご紹介している通り、私たちは業務の整理からAIを活用する業務の選定、社内ツールや業務システムの設計・開発を一貫して支援しています。助成金の利用可否や採択、申請代行をお約束するものではありませんが、設備投資に伴うデータ集約の仕様検討や、既存システムとの連携範囲の整理など、技術的な実装計画の具体化についてはデノフへの相談窓口よりお気軽にご相談ください。