AWSは2026年10月13日、AIエージェントやツールを一元管理するカタログサービス「AWS Agent Registry」において、登録レコードにカスタムメタデータを付与できる新機能を発表しました。詳細はAWSの公式発表(AWS Agent Registry now supports custom metadata for registry records)で公開されています。
これまで組織内でエージェントやModel Context Protocol(MCP)サーバーが増えると、名前や説明文だけでは所有者や利用条件の判別が難しくなる課題がありました。今回の機能追加により、担当チームやデータの取り扱い分類、レビュー状況といった組織独自の構造化フィールドを持たせることが可能です。
カスタムメタデータの構造と検索の仕組み
AWS Agent Registryの公式ドキュメントで説明されているように、このサービスは組織内のAI資源を登録・承認・検索するためのカタログとして位置付けられています。開発者がリソースを申請し、管理者が承認したものをカタログとして公開した上で、利用者はその中から必要なツールを検索して利用する運用です。
カスタムメタデータでは、すべてのレコード種別で共通して使う属性と、エージェントやMCPサーバーといった種別ごとに設定する追加項目を定義できます。フィールドの値として扱えるのは、自由記述テキスト、URL、真偽値(Boolean)、あらかじめ定めた選択肢(Enum)の4種類です。各項目には必須入力(Required)の指定が可能で、レコードの新規作成時や更新時に内容が自動で検証されます。
設定したカスタムメタデータのフィールドは、AWSマネジメントコンソールやAWS CLI、AWS SDKだけでなく、レジストリが提供するMCPエンドポイント経由での検索絞り込みにも利用できます。人間が画面上で探す場面に限らず、AIクライアントが特定のデータ分類に合致するツールを自動で検索・発見する用途にも対応可能です。なお、発見したツールを実際に呼び出して実行する場合は、クライアント側の実装や接続先の認証・実行条件を別途確認する必要があります。
スキーマ更新の制約と既存レコードへの影響
運用を開始した後に管理項目を変更する場合、いくつか重要な仕様が存在します。詳しい定義方法はカスタムメタデータスキーマの定義ガイドで確認できます。
スキーマの更新は「全体置換」で行われる点に注意が必要です。新しい項目を追加する際も、既存の残したいフィールドやレコード種別をすべて含めて更新データを送信しなければなりません。また、一度定義したフィールドの名前を変更することは許可されていないため、運用開始前の段階で項目の命名規則や役割を十分に整理しておくことが重要です。
さらに、運用中のスキーマ変更によって項目を必須化した場合でも、すでに登録されているレコードが自動的に書き換わったり削除されたりすることはありません。変更後のスキーマに適合しなくなったレコードは、適合状況を示すステータス(customMetadataSchemaComplianceStatus)において不適合(NON_COMPLIANT)と報告されますが、承認済みの状態自体はそのまま維持されます。この不適合となったレコードは、次回以降に改めて承認申請を行うまでの間に、新しいスキーマに合わせた情報更新を行う必要があります。
社内台帳の整理と小さく試すアプローチ
国内の企業においてこの仕組みを活用する場面を考えてみます。例えば、社内文書検索用のMCPサーバーや問い合わせ対応用のエージェントが各部署で個別に作られ、既存の管理台帳で把握しきれなくなっている状況が挙げられます。
まずは現在の台帳から、担当者が曖昧になっているものや部署ごとに表記揺れがある分類項目を洗い出します。その上で、「探すときに必ず指定したい条件」と「更新時に責任者が確認すべき情報」を整理し、全社共通で持たせる項目と特定のリソース種別だけで使う項目に切り分けていきます。運用開始後にフィールド名の変更ができない制約があるため、最初から項目を増やしすぎず、担当部署やデータ分類といった合意の取りやすい最小限の項目から設計するのが実用的です。
設計したメタデータは、本番環境へ一括適用する前に試行用レジストリで検証することをおすすめします。項目の入力と絞り込み検索が意図通りに動作するかを確認した上で、項目を必須化した際に既存のレコードがどのように不適合として表示され、承認状態がどのように保たれるかを点検しておくと、本番運用後の混乱を防ぎやすくなります。
共通属性の設定や検索機能は標準の仕様として確認されています。一方で、社内の既存台帳とレジストリをどのように同期するかや、メタデータ上の分類と接続先ツールの実行権限をどのように連動させるかといった課題については、各社の環境に合わせた個別の確認や連携の検討が必要です。
デノフで対応できる業務整理と実装のご相談
社内でAIツールやエージェントの活用が進むにつれて、開発そのものだけでなく「誰がどのデータを扱うツールを管理しているか」という運用設計が重要になります。
デノフのサービス案内でもご紹介している通り、デノフではWebサイトや業務システムの開発・運用保守に加え、業務の整理からAIを活用する業務の選定、ツール選定や定着支援を行っています。社内に分散しているAIツールの管理方法の整理や、カタログ化に向けた管理項目の設計、既存システムとの連携要件の具体化など、進め方に迷われた際はデノフへの相談窓口よりお気軽にお問い合わせください。



