既存の認証情報で接続できる「ユーザー管理セットアップ」の登場

2026年9月4日、AWSはAmazon Bedrock Managed Knowledge Baseにおいて、SharePoint、OneDrive、Confluenceを対象としたユーザー管理セットアップ(3LO)を発表しました。AWSの発表資料によると、従来これらのデータソースを接続するには、接続先サービス側で2LO認証情報を生成する必要がありました。この作業には管理者レベルのアクセス権限が求められる場合があり、社内文書を参照するAIアシスタントを素早く試作したい現場にとって、管理部門との調整や認証情報の取得が時間的な障壁となっていました。

今回発表された新方式では、利用者が日常的に使用している既存の認証情報でサインインすることで、認証処理がAmazon Bedrock側で行われます。AWSは数分でデータソースのセットアップを完了できると説明しており、IT管理者へ事前にサービスアカウントの発行を依頼しなくても、検証を開始しやすくなりました。

サービスアカウント認証との使い分けと運用の位置付け

一方で、今回のユーザー管理セットアップは既存のサービスアカウント認証を置き換えるものではなく、相互に補完する選択肢として位置付けられています。AWSは、本番環境のワークロード向けには従来通りのプログラムによるエンタープライズ向けの接続方式も引き続き提供するとしており、特定方式の採用を必須とはしていません。

そのため、まずは特定のチームが手元のマニュアルやWikiを使って回答精度を確かめる段階ではサインイン方式を採用し、全社的な業務基盤として長期運用する段階ではサービスアカウント方式の適用を検討するなど、段階に応じた使い分けが考えられます。

ただし、AWSの発表資料では、テナント管理者による事前の同意設定や、文書ごとのアクセス権限が検索結果にどう反映されるか、認証の有効期限や退職・異動時の更新手順といった詳細な運用条件までは確認できません。手軽に接続できるようになったとはいえ、実際の組織で利用する際には、誰の権限で文書にアクセスし、認証情報を誰が維持するのかを事前に確認しておく必要があります。

接続後の文書更新を取り込む同期スケジュールの検討

文書と鉛筆、砂時計、時計とカレンダーを囲む循環矢印、虫眼鏡付きの文書棚が順に並び、文書更新から知識検索への同期プロセスを示すイラスト

社内文書をナレッジとして参照させる場合、最初の接続設定だけでなく、日々の業務で文書が改定された際にAIの参照データへどう反映させるかも重要な検討項目です。

この点についてAWSは同日の2026年9月4日、別のお知らせとしてネイティブデータソースコネクタ向けの自動同期スケジュール機能を発表しています。従来は文書変更のたびに手動で同期を実行するか独自の仕組みを構築する必要がありましたが、日次、週次、月次の頻度で定期的な同期を設定できるようになりました。

たとえば、頻繁に更新されるサポート用のナレッジには日次、定期的に見直される社内規程には週次といった設定が想定されています。ただし、この同期スケジュール機能と今回のユーザー管理セットアップを組み合わせる場合の具体的な前提条件や、リアルタイムでの即時反映までは資料上確認できません。文書の変更がいつAIの回答に反映されるべきか、業務上許容できる時間差を踏まえて運用方針を検討することが大切です。

社内文書AIの試作と自社業務への適用を進めるために

たとえば国内の企業において、SharePointに格納された社内手順書をもとに問い合わせ対応を支援する社内AIを試作する場面を考えてみます。いきなり全社の大規模なデータを接続するのではなく、まずは対象とする手順書と利用するメンバーを限定し、業務に役立つ回答が得られるかを小さく検証することが現実的な進め方になります。

試作を進めるにあたっては、回答の根拠としたい文書の特定や管理担当者の確認、社内規程に照らした試作用文書の取り扱い範囲の整理を行います。そのうえで、文書の更新頻度と回答へ反映されるまでの許容時間を見極め、継続運用に必要な認証条件や管理体制を確認していくとスムーズです。これらは設定画面の操作だけで完結するとは限らず、組織ごとの情報管理ルールや既存システムとの整合性を確かめながら進める必要があります。

デノフでは、Web・システム開発とAI活用支援のサービスを展開しており、業務の整理からAIを活用する対象の選定、ツールの選定、そして既存の業務システムとの連携や開発・運用保守の範囲の検討まで対応しています。社内文書を活用したAIの導入を検討されているものの、どの業務や文書から着手すべきか、どのような認証や運用体制を整えるべきか整理しきれていない段階からでもご相談いただけます。具体的な進め方にお悩みの方は、デノフのお問い合わせ窓口よりお気軽にご連絡ください。