音声の文字起こしに依存せず、映像の場面を直接符号化する
社内研修や現場の作業記録など、社内に蓄積された動画資産から必要な場面を探し出す作業には多くの手間がかかります。2026年9月11日、AWSはTwelveLabs Marengo 3.0によるマルチモーダル埋め込み対応の発表を行い、Amazon Bedrock Managed Knowledge Baseにおいて動画、音声、画像のコンテンツを直接検索対象として扱えるようになったことを告知しました。
Amazon Bedrock Managed Knowledge Baseにおける従来のメディア検索では、音声や動画を一度テキストへ文字起こしし、そのテキストをもとに埋め込みベクトルを生成する方式がとられていました。この方式では、言葉として発話されていない映像内の作業動作や視覚的な変化を捉えることが困難でした。今回の発表によると、Marengo 3.0は映像の場面、発話、動画内の手掛かりを直接512次元のコンパクトなマルチモーダル埋め込みへと符号化します。これにより、Amazon S3などのデータソースからメディアを同期し、自然言語による検索を行うことで、文字起こしだけでは拾いきれなかった意味や文脈の検索が可能になると説明されています。
開始・終了時刻の取得とマネージド検索基盤の管理範囲

業務利用において実用的な要素となるのが、検索結果に該当区間の開始時刻と終了時刻が含まれる点です。これにより、利用者が動画全体を最初から見直すことなく、該当する場面へ直接スキップして確認できるアプリケーションの構築が想定されています。また、コンテンツの構造に合わせて分割方法を設定できるオプションも備えられています。
基盤運用の観点では、AWSが公開しているAmazon Bedrock Knowledge Basesの製品案内にある通り、Managed Knowledge Baseでは検索時に使用するベクトルストア、埋め込みや再ランキングのモデル、レート制限を含むスケーラビリティがサービス側で管理されます。製品全体としては、パイプライン全体の詳細な制御を求める開発者向けに独自のベクトルストアを持ち込むカスタマイズの選択肢も案内されていますが、インフラ運用の負担を抑えつつ検索基盤を立ち上げられる点がマネージド構成の特徴です。なお、原典資料の範囲では、利用可能なリージョンや利用料金、日本語による検索精度、APIの詳細なレスポンス形式に加え、独自のベクトルストアを用いるカスタマイズ構成でMarengo 3.0が利用できるかといった組み合わせ条件は明記されていないため、導入にあたっては個別のアカウントやドキュメントでの事前確認が必要です。
国内の業務動画を想定した検討と既存画面への接続
この仕組みを国内企業の業務へ応用する場合、たとえば自社で保有する作業研修動画から、担当者が確認したい作業工程を自然言語で検索し、既存の研修ポータル上で該当区間を開くような利用場面が仮定例として考えられます。ただし、これは実在の導入実績ではなく、運用の実現に向けた一つの想定シナリオです。
実務へ組み込む際には、まず文字起こしのテキストだけで探せる内容なのか、作業の手順や無音の動作など映像を見て判別しなければならない内容なのかを整理することが有効です。その上で、探すのに手間がかかっている候補動画と想定される検索語を集め、正解となる開始・終了時刻をあらかじめ記録しておけば、検索モデルが意図通りの区間を返せるかを客観的に評価できます。さらに、社内の既存動画プレーヤーが指定時刻からの頭出し再生に対応しているか、動画の閲覧権限や検索結果のアクセス制御をどのように反映させるかといった、システム側の連携設計も合わせて確認を進める必要があります。
業務整理からシステム連携のご相談
動画検索AIの機能を実務に活かすためには、マネージドサービスが担当する検索基盤の処理と、自社で構築する閲覧画面やデータ連携の範囲を明確に切り分けることが重要です。対象とする動画資産の選定、利用者が入力する検索語の傾向把握、評価用の正解区間の準備、そして既存システムとの接続箇所の整理を段階的に進めることで、過度な開発を避けつつ実効性を検証できます。
株式会社デノフでは、デノフのサービス案内に掲載している通り、業務システムの設計・開発やAI導入に向けた業務整理・活用支援を行っています。動画資産を活用した業務改善において、どのような場面を検索対象にすべきかの整理や、既存の社内システムと連携させた検索画面・再生機能の設計検討など、具体的な要件定義の前段階から支援が可能です。自社の業務に合わせた連携方針や試行範囲の検討については、デノフへの相談窓口よりお気軽にお問い合わせください。



